認知症で徘徊される傾向と目的について
「徘徊」という言葉には「うつろ歩き」など目的なく歩いている状態の意味があるのですが、実際にはしっかりと目的をもって出かけている方がほとんどです。
ただ、その目的を忘れたり、そもそも勘違い(昔の用事など)で出かけたりということで、結果「徘徊」と呼ばれているのが現状です。
このページではその傾向と目的を弊社の経験を基にご説明をさせていただきます。
※記載させていただいている内容は弊社の経験からお伝えしている内容が多くございますので、全ての方に当てはまるというものではございません。参考として閲覧いただけましたら幸いです。
認知症で徘徊される傾向
「徘徊」と聞くと、外出すると戻れないという印象がないでしょうか?
もちろん、そういう方もたくさんおられますが、実は家の近所は「散歩」されるという方もとても多いのです。
そもそも「徘徊」と言いますが、本来の意味(目的なくうつろ歩き)されている方はほぼおられず、皆さん目的をもって歩き始められています。途中で行き先を忘れたり、そもそも行き先が見当違い(子供が帰ってくる前に帰宅しないと!など)であったりするだけで、目的なくうつろ歩きをされている訳ではありません。
ではなぜ「徘徊」されるのかですが、これは医学的な統計ではないのですが、弊社の経験上、
もともと責任感の強い方が多い傾向があるように思います。つまり、「会社に出勤しなければ」「子供がかわいそう」「家に帰らないと怒られる」「買い物に行かないと」などお話を伺うと「〇〇しなければいけない」という口調の方が多く、これはつまり、責任感が強いために出る言葉で、実際に決意をもって歩かれているのです。しばらくすると、行き先がわからなくなったり、目的を忘れたりして現実に戻り、「ここはどこ?」と不安になる場合が多く、そのころにお迎えに行くのがケアのコツになります。
認知症で徘徊される目的
家に帰ろうという目的
自宅にいるにもかかわらず自宅にいるという認識が持てず、別に家(自宅)があるかのように帰ろうとして外出してしまう。以前住んでいた遠く離れた町の家に帰ろうとするなど行動範囲も広範囲になることもあります。
逆に普段歩き慣れた近所でも突然居場所が分からなくなり、道に迷って、家に帰りたいけど帰れないので歩き続けて徘徊してしまうこともあります。
外出している目的自体を忘れてしまった
買い物やデイサービスなどで外出した時に記憶障害でそもそもその場にいる目的が分からなくなってしまい、現状を把握するために歩き回ってしまうことで、現在位置が分からなくなってしまうケースも多いです。
過去を思い起こしての行動
仕事をしていた時のことを思い出して仕事に行かないといけない、お子さんが子供の時を思い出して迎えに行かないといけないなど過去のことを思い出して行動することで徘徊になってしまうケースも多いです。
認知症の症状で
認知症の症状によることでの目的のない徘徊になります。
認知症の場合、同じ行動を繰り返す症状が見られる場合があります。その症状で、同じところを目的なく行き来する場合があります。また不安な気持ちや幻聴や幻視から逃れようとして徘徊するケースもございます。
iTSUMOのGPSは「散歩」が「徘徊」にかわったタイミングをお知らせできる機器ですので、「徘徊」にかわったあと、どこをどのように歩いているのか追いかけることができ、目的を持って歩いているのか、迷っているのかも慣れればわかるようになってきます。
そうして、いいタイミングでお迎えに行くことで、介護者もご本人も負担が少なくいい関係を築くことができるという特徴があります。「散歩」を止めないでください。
資格:介護福祉士・介護支援専門員・福祉住環境コーディネーター2級
措置時代から介護業界で働き(アラフィフ)、介護保険制度施行後もずっと介護現場に携わってきている。特別養護老人ホーム・有料老人ホーム・グループホーム・通所介護(デイサービス)・小規模多機能型居宅介護・居宅介護支援(ケアプランセンター)・福祉用具貸与での勤務経験を有し、介護事業所の立ち上げに数件参画。
現在は福祉用具の企画コンサルタントとして、新商品の開発などに携わる傍ら、これまでの介護現場の経験をもとに、介護の楽しさややりがいなどを伝えていきたいと考えている。
研修:認知症介護実践者研修・認知症実践介護リーダー研修・認知症対応型サービス事業管理者研修