認知症の徘徊について
認知症徘徊GPS併用の認知症老人徘徊感知機器 iTSUMO(いつも)のサービスを提供している業者として認知症の徘徊をされる方の特徴や危険性、対応や対策などを今までの経験からお伝えすることで認知症の徘徊で悩んでおられるご本人様とそのご家族のみなさまにご参考になればと思い、以下の内容をご紹介させていただきます。※記載させていただいている内容は弊社の経験からお伝えしている内容が多くございますので、全ての方に当てはまるというものではございません。参考として閲覧いただけましたら幸いです。
認知症で徘徊される方の特徴
認知症の方はどのようにして徘徊(外出や散歩)をするのでしょうか。弊社では経験上、特徴として次のようなケースが多いように見受けられると考えています。
- 1.男女比はあまり無い
- 認知症で徘徊をされる方、iTSUMOのGPSをご利用いただいている方を見た時に男女の比率はあまり関係がないように思います。
- 2.年齢的には40代から90代まで
- 年齢は早ければ40歳代の方からご高齢の90歳代の方まで幅広い年齢層で見受けられます。
- 3.目的をもって出かける方が多い
- ただ衝動的に何の目的もなく外出するというよりも仕事に行かないといけない、子供を迎えに行かないといけないなど目的をもって外出される方が多いように思います。
- 4.何も持たずに出かける方が多い
- 目的をもって出かけられる方が多いのですが、同時に手ぶら(何も持たずに)で出かけるケースも多いように思います。
- 5.ご家族が安全確保のために玄関の鍵の数が増えている
- これはご本人よりもご家族の方のお話ですが、外出(徘徊)防止と安全確保のために玄関の鍵を内から開けられないように鍵が増えていくようです。南京錠やドア自体を加工されるケースも見受けられます。
- 6.警察に保護されるようになる・一晩以上行方不明になったことがある
- 知らない間に外に出て行かれるので探しても見つからず、一晩中どこにいったか不明で警察に保護されることもしばしばです。
- 7.徘徊中はスタスタ歩いている(違和感が少ない)
- 子供が迷子になると態度や表情に出ていて分かりやすいのですが、徘徊中の方はスタスタと歩いていて迷子や帰る場所が分からなくなっていることに周りが気づきにくいように思います。
認知症で徘徊される傾向と目的
認知症で徘徊される方の傾向
なぜ「徘徊」されるのかですが、これは医学的な統計ではなく、認知症徘徊GPSを運用してきた弊社の経験上から言うと、昔からもともと責任感の強い方が多い傾向があるように思います。
つまり、「会社に出勤しなければ」「子供がかわいそう」「家に帰らないと怒られる」「買い物に行かないと」など、お話を伺うと「〇〇しなければいけない」という口調の方が多く、これはつまり、責任感が強いためにに出る言葉で、実際に決意をもって歩かれているのです。
しばらくすると、行き先がわからなくなったり、目的を忘れたりして現実に戻り、「ここはどこ?」と不安になられるケースが多いように思います。
認知症で徘徊される方の目的
前述したように徘徊される方のほどんどが目的をもって徘徊をされているということです。
ではどういった目的で徘徊をされるケースが多いのでしょうか。
自宅にいるにもかかわらず自宅にいるという認識が持てず、別に家(自宅)があるかのように帰ろうとして外出してしまう家に帰ろうという目的、買い物や通院などの外出で外出している目的自体を忘れてしまった、仕事にいかないと、子供を迎えに行かないとなど過去を思い起こしての行動などが目的のケースが多いです。
認知症徘徊の危険性
一年を通して気を付けなければならないのは「行方不明」になることです。
警察庁の集計では、年間約1万8000人以上の方が徘徊が原因で行方不明になり警察に届け出がありました。
もう一つは転倒や交通事故による「ケガ」です。
認知症の方は高齢者が多いので、ちょっとしたことで転倒して大けがを負うことも少なくありません。また横断歩道や踏切などに気づかず入ってしまうなどした場合は、大けがでは済まない場合もありますので、心配になります。
さらに暑い時期には熱中症や脱水症状で倒れたり、寒い時期には低体温症や風邪を引いたりして体調を崩すなど一年中危険にさらされる可能性があります。
若い方ならまだしも認知症の方は高齢者の方が多いので、上記のような状況に陥ると生命の危険にさらされることになりすので、注意が本当に必要です。
ご家族が認知症で徘徊しようとしたら(対応)
ご家族が認知症で徘徊をされ始めたら、ご家族の方は動揺をしたり、悲しんだり、時には怒ったりという感情が表に出そうになったりすることもあると思いますが、ご本人様も好きで徘徊を行ってるのではありません。そういったことを踏まえて冷静に対応することが必要です。
では徘徊をしようとしたらどうのように接するのが良いのでしょうか。弊社ではiTSUMOのGPSのご相談に来られる方には以下のように接するようにお勧めしています。
- ◎できるだけ早期に専門家に相談する
- ◎目的をもって出ようとしていることを理解し、強い言葉で止めない
- ◎とにかく否定せずどうしたいのか傾聴する
- ◎他のことに気をそらせて外出しようとする気分を紛らわせる
- ◎無理に止めるのではなくそっと後ろをついていく
ご家族様の状況や環境もございますので、難しいこともあると思いますが、できる限り優しく愛情をもって接してあげてください。
ご家族が認知症で徘徊するようになったらすべきこと(対策)
ご家族が認知症で徘徊をされ始めたら、ご家族で徘徊を見守ること以外に何かできることはないのでしょうか。
見守り以外にできること
- ◎ご本人の徘徊の目的を把握
- ◎地域コミュニティとの連携
- ◎趣味や仕事などできることはしてもらう
- ◎外出など運動を積極的に
- ◎生活のリズムを整える
- ◎介護サービスの活用
- ◎行方不明になった場合は速やかに警察に届け出を出す
- ◎ご家族のメンタルケア
認知症徘徊の見守りは大変な事も多いですが、ご家族以外にも民生委員さんや自治会などの地域コミュニティ、ケアマネージャーさんなど見守りをサポートしてくれる力はできる限り活用してもらうようにアドバイスをさせていただいております。
ご家族が認知症で徘徊する前に
認知症の徘徊はいつどのタイミングで発症するかはまだはっきりとは解明されていません。
ある程度の年齢になると認知症になる可能性が誰にでもあるとも言えます。認知症の兆候がある方、ない方も前もって備えておくことが必要です。
認知症徘徊に対する備え
- ◎認知症専門医への受診
- ◎要介護認定
- ◎徘徊に気づく仕組みづくり
- ◎持ち物や衣服に名前を書く
- ◎市役所で行っているSOSネットワークなどに登録する
- ◎認知症のある生活に備える手引きを読んでおく
備えあれば憂いなし、前もって準備をしておくことで対応もスムーズに行うことができます。
iTSUMOのGPSをオススメするわけ
徘徊が始まるとご家族の関係が崩れるケースが多く、在宅での介護に限界を感じてしまいます。
ご本人は目的をもって出ようとするのですが、ご家族は毎回後ろをついてくわけにもいかず、ある日戻らないという状況になります。その時の焦燥感は一度感じると二度と味わいたくないものです。どこを探しても見つからず仕方なく警察に保護願を出しますが、見つかるまでの不安感はとてつもなく大きなダメージを与えます。
同時に、ご本人も散歩のつもりで出たのですが、帰り道がわからなくなってものすごく焦ります。この焦りが精神的なダメージになり、自己嫌悪や自暴自棄になってしまい、帰宅後に生気がなくなりふさぎ込んでしまう方もたくさんいます。
iTSUMOのGPSを利用するとご家族は居場所がいつでもわかることで、ご本人を閉じ込める必要がなくなり、ご本人の行きたいときに外出してもらうことができます。
ご本人も、ご家族に怖い顔で見張られている状況とは違いますので、精神的に落ち着いてこられ、徘徊がなくなったという方もたくさんおられます。
資格:介護福祉士・介護支援専門員・福祉住環境コーディネーター2級
措置時代から介護業界で働き(アラフィフ)、介護保険制度施行後もずっと介護現場に携わってきている。特別養護老人ホーム・有料老人ホーム・グループホーム・通所介護(デイサービス)・小規模多機能型居宅介護・居宅介護支援(ケアプランセンター)・福祉用具貸与での勤務経験を有し、介護事業所の立ち上げに数件参画。
現在は福祉用具の企画コンサルタントとして、新商品の開発などに携わる傍ら、これまでの介護現場の経験をもとに、介護の楽しさややりがいなどを伝えていきたいと考えている。
研修:認知症介護実践者研修・認知症実践介護リーダー研修・認知症対応型サービス事業管理者研修