認知症の方は、とつぜん外出して道に迷ってしまうことがあります。これがいわゆる徘徊です。本人には目的があるのですが、周囲からは「問題」としてとらえられてしまうことが多いです。
特に夜間や悪天候時、また交通量の多い地域では命の危険にもつながります。
こうした事態に迅速に対応するため、多くの自治体が導入している仕組みとして「徘徊SOSネットワーク」があります。
これは、行方不明となった認知症高齢者を地域ぐるみで探す体制で、自治体や警察、消防、地域住民、商店、交通機関、介護事業者などが連携し、情報共有しながら発見・保護を行います。
※定期的に徘徊訓練などを実施している自治体もあり、ぜひ積極的に参加してみてください。
徘徊SOSネットワークとはどういう仕組みか?
1.利用希望の自治体住民があらかじめ申請し、自治体はデータベースとして登録します。行方不明事案が発生した場合、自治体に連絡することで以下のように情報提供を行います。
2.家族や介護施設が自治体の担当窓口に「行方不明になった」と通報します。
3.あらかじめ「徘徊SOSネットワーク」に登録している商店、介護事業所、交通機関、地域ボランティアなどに、メールやFAXで特徴・服装・最終目撃情報などが一斉送信されます。
4.情報を受け取ったメンバーは、自分の活動範囲で捜索を行い、対象者を見かけたらすぐに通報します。
5発見・保護した場合、迅速に警察や家族と連携し、安全を確保します。
認知症徘徊GPSとの連動はどうなっているのか?
近年、この「徘徊SOSネットワーク」はGPS見守り端末と組み合わせて運用されるケースが増えています。
・GPS端末の位置情報を家族だけでなく、自治体や警察も一緒に確認し、その情報をもとに捜索をします。
・「徘徊SOSネットワーク」参加者にも(個人情報に配慮した上で)おおよその場所を共有することで、保護の依頼を出します。
・SOSボタン連携
一部GPS端末にはSOSボタンがあり、本人が押すと家族等に位置情報を通知する仕組みがあります。
※iTSUMO(いつも)と連携している自治体もあり、情報共有を行うことでスムーズに保護ができています。
徘徊SOSネットワークとGPS連動のメリットは?
・捜索の初動が早い
目撃情報だけに頼らず、位置情報を活用できるため、最初の捜索範囲を絞り込めます。
・夜間や人通りの少ない地域でも発見可能性が高まる
目撃者がいない場所でも、GPSがあれば居場所の目安がわかります。
・警察や消防の出動効率が向上
広範囲を手当たり次第探すのではなく、ピンポイントで動けるため、救出までの時間短縮が期待できます。
※iTSUMO(いつも)の場合、導入時にきっちり役割分担を決めてから使用していただくので、「徘徊SOSネットワーク」に依頼することも少なく、ご家族が保護できています。しかし、万が一の時にセーフティネットは多いに越したことはなく、登録をおススメしています。
利用するにはどうすればいい?
1.地域包括支援センターや自治体に相談
お住まいの自治体が「徘徊SOSネットワーク」事業を実施しているか確認します。
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2.事前登録
認知症と診断された方、または徘徊の恐れがある方の情報(写真・特徴など)を登録します。
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3.GPS端末の導入
自治体によっては無料または低額でGPS貸与している場合があります。
※GPS端末の貸与サービスがない場合や、使用方法が難しいと感じた場合、iTSUMO(いつも)をご検討ください。全国対応可能で、地域の担当福祉用具店が丁寧に説明させていただきます。
注意すべきポイントは?
・位置情報の共有範囲の確認:誰にどこまで共有されるのかを事前に把握しておく(個人情報の漏洩)
・服装の確認:行方不明時の服装は必ず聞かれるので、日頃から意識しておく
・バッテリー管理:GPS端末は充電式のものが多いので、災害や停電時にも使えるよう、予備電源を確保しておく
※iTSUMO(いつも)の場合、取り付け位置によってGPS端末それ自体が目印にもなるようにしてあり、捜索時に有効です。
まとめ
徘徊SOSネットワークは、地域全体で高齢者を見守る強力な仕組みです。これにGPSを連動させることで、発見までの時間短縮や安全確保の確率が大きく向上します。
「もしも」のときはいつ訪れるかわかりません。最近は要介護認定を受ける前の方が突然行方不明になり保護されるという事例が増えています。そうなる前にいざという時に迅速に動けるよう、早い段階で地域包括支援センターや自治体に相談しておきましょう。
※残念ながら現在、自治体によっては、そういった取り組みが一切ないというところもあります。その場合もあきらめず、iTSUMO(いつも)にご相談・ご検討ください。

資格:介護福祉士・介護支援専門員・福祉住環境コーディネーター2級
措置時代から介護業界で働き(アラフィフ)、介護保険制度施行後もずっと介護現場に携わってきている。特別養護老人ホーム・有料老人ホーム・グループホーム・通所介護(デイサービス)・小規模多機能型居宅介護・居宅介護支援(ケアプランセンター)・福祉用具貸与での勤務経験を有し、介護事業所の立ち上げに数件参画。
現在は福祉用具の企画コンサルタントとして、新商品の開発などに携わる傍ら、これまでの介護現場の経験をもとに、介護の楽しさややりがいなどを伝えていきたいと考えている。
研修:認知症介護実践者研修・認知症実践介護リーダー研修・認知症対応型サービス事業管理者研修