みなさん、認知症徘徊感知機器iTSUMOの利用者さんがどんなタイミングで使用を始めているかイメージできますでしょうか?今回は、認知症の徘徊見守りGPSの導入タイミングについてお話しします。
高齢者の見守りGPS導入のポイント
実際に導入されるにあたり、警察に保護願を出したことがあるかどうかということがポイントとなります。利用者さんが行方不明になった場合、ご家族自身で保護できる確率は低く、警察に保護願を出すことが多いです。
つまり、予防的に導入するか、一度徘徊したという現実を受けて導入するかということです。
認知症で徘徊があるとをご家族が認識している場合、多くのケースではケアマネジャー様に相談されるので、そのまま導入に至ることが多いです。しかし、ご家族にその認識がない場合は、実際に警察に保護されるまで認識しない(徘徊と思わない)こともあります。
次に、利用者さんのイメージとしては、まだ認知症の診断がなくても掃除や片付けをあまりしなくなったとか、同じものをたくさん買ってくるようになったとか、一点を見つめてボーっとしていることが増えたとか、何かしらの「変化」があることが多く、ご家族はいち早くそれに気が付いてほしいです。
また、体力が低下して外出が減った(特に骨折の治療後など)場合などは、認知症が進行し徘徊がはじまることもあり、これらの「変化」を感じたら、本当は先に導入しておいてほしいというのが本音です。その後の進行で徘徊はしないかもしれません。しかし、徘徊するようになった場合、1回目の徘徊で2度と戻れなくなった方も多くおられる事実を知っていただきたいです。
ご家族が遠方に住んでるので心配というケースも多くなりますが、そんな時には「変化」を感じることが難しくなります。そこで、ケアマネジャー様やその他介護サービス事業者の方がその役割を担っています。
とにかく、この利用者さんの「変化」をいち早く察知して、早い段階で導入していただくことで、万が一の徘徊にも慌てることなく、ご家族の負担も最小限に抑えることができ、在宅介護の継続ができる可能性が高くなります。
認知症の前兆(ご家族の変化)行動
ここでは、日常生活で見られる具体的な前兆行動(気づいてほしいご家族の変化)を何点か上げさせていただきます。
- 部屋が散らかるようになった
掃除や片づけをしなくなり、家の中が散らかるようになった。不要な物を「もったいない」と言って捨てられなくなったり、冷蔵庫に古い食べ物や同じものがいっぱい入っているなど、これは計画的に整理する力や、物の位置を覚える力が低下するために起こる変化になります。
- 服装や身なりが乱れるようになった
同じ服をずっと着ていたり、真冬にTシャツ一枚など来ている服に季節感がないかったり、お風呂にはいらなくなったりしてくる。これは着替えるのが面倒くさかったり、手順が思い出せないことが原因で起こる変化になります。
- 焦げ付かせることが多くなった
火をつけてそのままにして外出をしてしまい、鍋を焦がしてしまうことが多くなったり、料理の手順を間違えることで食事の味がおかしくなったり、毎日同じものを食べている、これは段取りを考える力や注意力が低下することで起こる変化になります。
- お金の管理がうまくできなくなった
レジでの支払いに多くの時間をかけたり、光熱費や家賃の支払いを忘れたり、訪問販売で買ったものが多くなったりとお金の管理がうまくできなくなってきた。これは小銭の計算ができなくなったりと金銭の管理に対する思考や判断力が低下することで起こる変化になります。
- 物の置き忘れ・紛失が増えた
鍵・財布・携帯など何かしらをいつも探していることが多くなった、物を冷蔵庫や引き出しなど、意外な場所にしまってしまうなど、これは記憶のズレにより、行動と場所の対応がうまく取れなくなることで起こる変化になります。
- その他
同じ話を何度も繰り返す。昼夜逆転で夜に活動するようになった。外出や人づきあいを避けるようになったなど、他にも認知症の前兆はありますが、上記のようなご家族の変化や普段と違う違和感を早い段階で察知されたら、一度お医者さんにご相談いただき、見守りGPSの導入をご検討されることをおすすめします。
介護施設入居者向けの導入タイミング
さらに、介護施設にすでに入居されている方向けの導入のタイミングも考察してみます。
介護施設には専門スタッフが常駐しており、ご家族からすると安心でGPSなど必要ないと思われがちですが、実際は、施設といえども24時間見守りをすることは不可能と言え、結局玄関の施錠や、後をついて歩くという対応しかなく、GPSを使用されている施設は多くなっています。
そんな施設でGPS導入のタイミングは、実際に徘徊があったタイミングです。
施設では行方不明者が出ると全スタッフに召集がかかり、施設周辺の捜索を行います。山が近い施設などは山狩りを行う場合もあります。そして同時に警察に保護願を出し、一緒に捜索を行うのですが、結局見つけ出すのは警察の方という現実があります。
認知症の徘徊見守りGPSの使用は、スタッフの負担軽減にもつながり、ご利用者も閉じ込められることなく自由に外出ができるツールとなっています。
まとめ
結論として、認知症の徘徊見守りGPSはいつ導入するのが正解か?
介護施設に入居していない方は、ご家族などが利用者さんの「変化」に気が付いたタイミングです。
介護施設に入居されている方は、実際に徘徊があったタイミングで導入をされるのが、ポイントになることが多いかと思います。
そのためにまずはこうした方法(GPSでの位置検索)があることを知っておくことがとても重要です。

資格:介護福祉士・介護支援専門員・福祉住環境コーディネーター2級
措置時代から介護業界で働き(アラフィフ)、介護保険制度施行後もずっと介護現場に携わってきている。特別養護老人ホーム・有料老人ホーム・グループホーム・通所介護(デイサービス)・小規模多機能型居宅介護・居宅介護支援(ケアプランセンター)・福祉用具貸与での勤務経験を有し、介護事業所の立ち上げに数件参画。
現在は福祉用具の企画コンサルタントとして、新商品の開発などに携わる傍ら、これまでの介護現場の経験をもとに、介護の楽しさややりがいなどを伝えていきたいと考えている。
研修:認知症介護実践者研修・認知症実践介護リーダー研修・認知症対応型サービス事業管理者研修