このコラムを読んでくださっているみなさんは、だいたいGPS機器というものを理解していただいているのではないかと思います。でも日常的に使っていますか?とっても頼りになるんですよ!
今回は、そんなGPS機器ですが、あえて「故障」や「不具合」についてご紹介させていただきます。
認知症徘徊GPSの故障
まず、わたし(メーカー側の人間)が絶対に覚えておいていただきたいことがあります。それは「GPS機器」=「精密機械」であるということです。イメージ的にはスマホに近いです。
そのうえで、まずは「故障」の話ですが、これはハード的な故障とソフト的な故障があります。
○ハードの故障
ハード的な故障とは、水没・圧迫・衝撃・保証温度以外での使用などの原因があり、物理的に壊れた状態です。
- 水没の場合
機器によって防水性能は異なりますが、それ以上の水圧等がかかると内部に水が浸入し、ショートを起こし基盤を破損します。内部を乾燥させれば稀に復活することもあるのですが、一度浸水すると金属がさびてしまい、何か月か後に壊れるということもあります。
※iTSUMO(いつも)の場合は、IP68という最高水準の防水防塵性能を有していますが、それでも洗濯機などの水圧では故障する可能性が高いです。- 圧迫の場合
これは靴底に格納するタイプの靴での使用や、ズボンの後ろポケットに入れていてお尻で踏んだり、誤って踏みつけてしまったりすることで、内部の基盤が損傷し物理的に壊れてしまいます。これも稀に完全に割れていないなどで復元し、復活することもあるのですが、いつ壊れてもおかしくない状態です。
※iTSUMO(いつも)の場合、圧迫を避けるため専用の格納カバー(足の甲に収納)を付属しています。また、iTSUMO専用シューズも踵ではなく、足の甲に収納する設計となっております。- 衝撃の場合
衝撃についてですが、これは説明不要かと思いますが、スマホも落としたりすると壊れるのと同じです。
※もちろんiTSUMO(いつも)も衝撃が強いと壊れます。
(外装がプラスチックですので、そこに傷がつくくらいの衝撃が加わるとまずダメですね)- 保証温度以外での使用の場合
最後に保証温度以外での使用についてですが、これもGPS機器によって保証温度帯は変わるのですが、氷点下10や20から50や60度程度までが保証範囲となっていることが多いです。範囲外で使用すると極端に性能が落ちたり、動かなくなったりする可能性があります。
※iTSUMO(いつも)の場合、マイナス20度から60度までをカバーしており、マイナスになると電池の持ちが悪くなります。また、保証範囲以上になる場合、強制的に電源を落とし、機器を保護する仕組みになっています。60度以上の状況が継続すると電池の膨張や発火の恐れもありますので、そんな場所に放置するような使用は絶対にやめてください。
○ソフトの故障
故障についてはソフトの故障もあります。
GPS機器はスマホアプリで操作するものが多いのですが、そのソフトが故障するとバグ(エラー)によって位置がわからないなどの状況になります。
また、スマホ側が壊れていても同様です。
※iTSUMO(いつも)の場合、専用アプリを開発しており、エラー発生時には迅速に対応させていただいております。(エラーが一切起きないことは不可能と言えます)
また、スマホに設定するなどの操作を地域の福祉用具店様が行っていただくので、確実に使える状況を専門家に確認していただけるのも強みです。
認知症徘徊GPSの不具合
さて、次にどんな「不具合」があるのかを紹介します。
GPS機器の不具合は、上記要因以外でも起こります。
- 通信キャリアの障害
一番被害が大きなものは、通信キャリアの障害です。最近ではauが数日間通信できないという事案が発生していましたが、同様のことが起これば、GPS機器も位置がわからない状況になります。
※もちろんiTSUMO(いつも)、ドコモ回線を使用していますので、ドコモで障害が発生した場合、起こりえます。また、GPS機器はドコモでも、スマホ側のキャリアが他社の場合、他社で障害が起こっても同様です。- 太陽フレア
また、太陽フレアという磁気嵐のようなものが地球に届くとGPSの位置が狂うという自然現象もあります。
このように、GPS機器を使用するうえで、使用できないリスクや故障のリスクは必ず伴うということを理解してご利用いただけますようお願いします。
ただし、何度も言いますが、同様の注意点はスマホを契約される際にもお聞きになっている内容なんです。(細かい字で書いてあるアレです)GPS機器というと特別な機器という印象を持たれるかもしれませんが、スマホと同じようなものと認識していただくと理解しやすいかと思います。
ただ、老々介護の家庭に「スマホと同じですから」と言ってもなかなか難しいことも多く、丁寧な説明が必要です。iTSUMOはそういったご家族にこそピッタリのサービスだと自負しております。
まとめ
GPSはスマホと同じように精密機械です。水没や衝撃、過剰な高温や低温などには弱いので注意が必要ですが、通常使用している限りはスマホのように問題なく動作してくれます。また、通信機器でもありますので、通信障害に気を付ける必要がありますが、GPS機器を上手に利用すれば、生活の質(QOL)を上げることができます。これは徘徊対策に限ったことではありません。日頃からGPS機器を利用していただければ、もっと身近に感じていただけるようになると思います。

資格:介護福祉士・介護支援専門員・福祉住環境コーディネーター2級
措置時代から介護業界で働き(アラフィフ)、介護保険制度施行後もずっと介護現場に携わってきている。特別養護老人ホーム・有料老人ホーム・グループホーム・通所介護(デイサービス)・小規模多機能型居宅介護・居宅介護支援(ケアプランセンター)・福祉用具貸与での勤務経験を有し、介護事業所の立ち上げに数件参画。
現在は福祉用具の企画コンサルタントとして、新商品の開発などに携わる傍ら、これまでの介護現場の経験をもとに、介護の楽しさややりがいなどを伝えていきたいと考えている。
研修:認知症介護実践者研修・認知症実践介護リーダー研修・認知症対応型サービス事業管理者研修