今回は介護業界(認知症徘徊の見守りも含む)に今求められることについて私の考えを書いていこうと思います。
日本の高齢化について
日本の高齢化率(総人口に占める65歳以上の人口の割合)は2024年に29.3%となり、世界一の高齢化率の高い国となっています。(厳密にはモナコが1位なのですが)
また、2070年には、高齢化率は39%に達すると推計されています。
これは2070年には、国民3人に1人が高齢者となるということなのですが、実際に働ける年代に絞ると2024年では2人に1人となり、2070年には1.3人に1人となる予想です。

厚生労働省のホームページから抜粋
2070年の介護状況は
そこで、2070年の日本をイメージしてみましょう。夫婦と子供1人の世帯を基準で考えると夫婦の両親が4人とも健在とすると、そのうち3人は介護が必要な状況ということになります。
さて実際に3人を介護しながら子育てを行い、さらに共働きはできるでしょうか?
また、この世界では、おそらく施設に入れる方はごく一部になっている可能性があります。それは、施設を動かすにも人が必要で、働く人の確保ができないと箱(施設)があっても稼働できないわけです。しかし現実には、介護や医療は生産性の産業ではないため、国力を維持するには第1次産業(農林水産業)と第2次産業(工業)が重要で、第3次産業(観光業)にも人が必要で、そちらの待遇の方がよくなります。
そうなると、特に介護業界に人がたくさん流れてくるイメージは難しく、介護事業の存続を考えることは他の産業を考えるよりも深刻です。
問題解決のキーになるのが福祉用具
さて、暗い話はここまでにして、どうすればよいかを考えてみたいと思います。
まず、施設の数は少なくなり、在宅で家族で介護をすることが多くなると予想します。(担い手がいないので仕方なくという面もあります)
介護サービスは施設系ではなく、通所系や訪問系が充実し、昼間家族の勤務時間を見てもらえるサービスが中心になっていくのではないでしょうか。(施設は従業員の定員割れ状態で閉鎖が増える)
そこで重要なキーになるのが福祉用具です。特に、センサー技術やAI技術を活用した見守りが介護の肝になるとっても過言ではないと考えます。
認知症に対応する機器について
認知症についてはさらに難しい問題があり、高齢者の28%が認知症になるとの統計もあり、患者数は約1,000万人を超えます。
認知症の方に対する介護サービスはまだまだ充実しているとはいえず、特に機器の開発は急務かと思われます。
弊社も認知症徘徊対策GPSのメーカーとして「見守り」に対する商品の開発が大切だと考えています。
特に、徘徊がはじまると、関わる人の人数も多く必要ですし、心身の負担が大きく介護意欲の低下が著しいというデータもあり、徘徊対策は高齢化に向けてとても重要な要素だと考えています。
現在、介護保険法では徘徊感知機器のオプションとしてGPS機器の併用を認められていますが、介護保険法上はその機能を認められていないという、なんだかややこしい状況にあります。これを解消すべく福祉用具検討委員会という厚労省の専門チームが議論を続けているのですが、今現在(令和7年10月)結論は出ていません。
徘徊対策にGPSが有効であることは警察庁も認める事実なので、法改正を期待したいところです。iTSUMOを使えば、警察の保護願を出さなくてもご家族自身で保護できる可能性がグッと高まるという事実を皆さんにも知っていただきたいです。
最後に
ちなみに、わたしは第2次ベビーブーム世代でして、小学校から1クラス45人×5クラスという状況で、中学や高校に至っては10クラス以上ありました。それが今では20人×2クラスとか・・・なぜこんなことになったのか?原因はいろいろ言われておりますが・・・今から若年層を増やすには若年層がたくさん子供を産んでもらうしかないわけですが、それはなかなか難しい問題で・・・
今われわれが考えるべきは、介護者が少なくても質を落とさずサービス提供ができる仕組み作りだと考えており、いわゆる「省力化」という、これまで介護業界ではタブー視されてきたところに切り込んでいかないとダメなんだと思います。
「介護は人がするもの」を残しつつ「省力化」をはかる これは難題です。
高齢化は待ったなしですので、どんどんチャレンジしていくしかないと思います。
今後とも応援よろしくお願いします。

資格:介護福祉士・介護支援専門員・福祉住環境コーディネーター2級
措置時代から介護業界で働き(アラフィフ)、介護保険制度施行後もずっと介護現場に携わってきている。特別養護老人ホーム・有料老人ホーム・グループホーム・通所介護(デイサービス)・小規模多機能型居宅介護・居宅介護支援(ケアプランセンター)・福祉用具貸与での勤務経験を有し、介護事業所の立ち上げに数件参画。
現在は福祉用具の企画コンサルタントとして、新商品の開発などに携わる傍ら、これまでの介護現場の経験をもとに、介護の楽しさややりがいなどを伝えていきたいと考えている。
研修:認知症介護実践者研修・認知症実践介護リーダー研修・認知症対応型サービス事業管理者研修





