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福祉用具について

介護保険制度の中で異色の存在が福祉用具です。介護保険制度中唯一価格の決定権が事業者にあり、選定の決定権が自治体にあるということから、地域差がすごく大きく出るサービスになっています。ただ、この部分が少し事情が変わりつつあり、介護保険の財政難と、一部業者が不当に高額請求をしていた事実があり、平均価格や上限価格が設定されるようになりました。

 福祉用具でよく知られているのは車いすやベッドでしょうか。ポータブルトイレやおむつなんかも福祉用具になります。ただ、介護保険制度上では、繰り返しの使用(利用者が変わっても)ができるものはレンタル、繰り返しが難しいものは販売、それ以外の消耗品などは介護保険適用外と規定されています。ですので、福祉用具はすべて介護保険でというわけではないのです。なんかややこしいでしょう?そこで、福祉用具の専門家がおり、ご利用者に合わせてチョイスする。それが福祉用具店さんです。

 ちなみにiTSUMOは福祉用具では徘徊感知機器というジャンルになり、レンタルの対象です。お使いのご希望があれば、ご家族とケアマネジャーさんとお近くの福祉用具店さんがご相談されて、取り付け・説明・サポートを福祉用具店さんがしてくれます。

 むかし、あなたのまちの電気屋さんってCMがありましたが(知らない?)福祉用具店さんはそんなイメージで、家で介護をされるときには、お付き合いされるとなにかと助かりますよ!

徘徊について

徘徊ということばを使用しないキャンペーンが広がっています。

 私もこの言葉は嫌いです。あてもなくウロウロするという意味ですので、事実とは違っているのです。認知症の方が外出をされるのには「必ず」理由があります。理由の大小はあるでしょうが、「目的のある外出」であることには違いないのです。

 そして外出した後に、その目的を忘れてしまい目的地に達することもできない、家に帰ることもできない 状態になっているということです。

 一方、ご家族など介護されている方からの視点で見ると、「徘徊」以外の何ものでもないわけです。外出したら帰ってこないわけですから・・・。でも、居場所がわかれば?「徘徊」ではなく「散歩」に変わるのではないでしょうか?お迎えに行くことができますから。

 では何て呼ぶとよいか・・・。これがまた難しい

 良い呼び名が決まればいいなと思います。

認知症徘徊感知機器って

認知症徘徊感知機器という言葉を聞いたことがあるでしょうか。このコラムを読んでくださっている方の中でもご存じない方も多いと思います。福祉用具の中で一番マイナーな機器で、iTSUMOも認知症徘徊感知機器になります。

以前、愛知県で起こった鉄道事故で、最高裁判決までもつれて結局無罪で落ち着いた案件は記憶にある方も多いと思います。あの案件でも実はこの認知症徘徊感知機器を使用されていました。でも、玄関の出入りに反応、頻繁に作動することでご家族がうんざりして電源を抜いていたのだそうです。そんな経緯がありこのご利用者は一人で線路に入り衝突事故が起こったということです。

 さて、ここで問題は、認知症徘徊感知機器が機能していないということです。もしGPS型の機器であったら・・・もし踏切の手前で警告があれば・・・もし遠方のご家族にも警告が行っていれば・・・などなど

 実は、介護保険制度は2000年から始まりましたが、家の外へ出た時の想定がなく、介護保険では家の外での介護は認められていないのです。  今、高齢者の徘徊が社会の問題としてこれだけ大きくなってきており、今後法律の改正も視野に検討していただきたいです。