月別アーカイブ: 2022年9月

認知症の徘徊見守りGPSをご利用事例65

★大阪府C様 男性90代 要介護2
◎介護保険適用
見守り体制:お孫さま
GPSの取り付け位置:革靴(ローファータイプ)

朝から夕方まで自宅で一人過ごしている(デイサービスは断固拒否)されています。
ご飯は朝・昼・晩と同市内の親族のどなたかが交代でご飯の用意をしに行かれています。
「そろそろ家に帰らあかん」と自宅にいても、ひっきりなしに何回も言うようになり、
昼間は自宅で寝ているが、夜中になると外に散歩し、警察に何度も保護されるようになり、
心配になったお孫さんがiTSUMOを依頼されました。

お孫さんの希望は
1.夜中でも出かけたら知らせて欲しい
2.日中は自分も仕事をしているし、本人も寝ている事がほとんどなので、お知らせしてほしくない

ということでした。

ですので、振動感知設定を勧めさせていただきました。
お孫さんが仕事後、本人の自宅へ晩ご飯を用意しに行き、帰り際、ご本人さんが自宅にいるのを確認して、振動感知設定ONにすように、の後朝までメールが来なければ振動感知設定OFF、
たまに夜中に振動感知通知メールが来るので、その時は現在の位置を探す機能で、現在地を調べて、お迎えに行っているということです。

充電もご家族の方が交代で毎日来るので、その時に充電。

今のところは、それでうまく使えていますとご連絡をいただいております。

iTSUMOのGPSってすごい

今回は、手前味噌ですがiTSUMOのGPSのすごさを書いてみたいと思います。
これまでで一番「すごい」と感じたのは、壊れかけた家族関係を修復し、看取りまで自宅でできたご家族の事例です。

iTSUMOのGPSについてお問い合わせがある場合、介護度は低い(認定がまだの方も結構あります)のですが、徘徊が原因で警察に保護されて在宅介護に限界を感じ、藁(ワラ)にもすがる思いで連絡があることが多く、かなりの悲壮感が漂っています。

この段階で入所施設を探されている割合はかなり高いです。(もう介護したくない!と)
そしてiTSUMOのGPS説明を聞いていただき、実際に使用開始の段階では少し希望の光が見えるかな?程度です。(入所までのつなぎになればいいか・・・程度ですね)
そしていざ実際に行方不明になって、GPSで位置捜索すると「ん?これはいけるかも?」と目の前が少し開けてきます。(これなら入所しなくても在宅介護でいけるのか・・・?)
それまでは出かけそうになるご本人を見つけては、罵声や怒声をかけていたのが少し和らぎます。そうするとご本人も精神的に安定され、徘徊の回数が減っていきます。

さらに、万が一の時にもすぐに迎えに行けるので特にご家族に不安はなく、家族関係も戻っていきます。(「徘徊」を「散歩」と捉えることができ、逆に「行ってらっしゃい」と声をかける余裕もでてきます)
しばらくすると認知症は進行し、体は老化し、ADLが落ちるため徘徊の距離が短くなり、そのうち外出することも難しくなります。(いわゆる寝たきりになります)
そうなればiTSUMOのは卒業です。GPSのレンタル終了で弊社との関係はここまでです。

そして、ここからは自宅で在宅ケアを受けつつ看取りまで。
残されたご家族には怒りの表情は一切なく、認知症ゆえのご近所トラブルやハプニングなども笑いながら話されます。

これはフィクションではありません。実際にわたしが出会ったご家族のことばです。
全ての方がiTSUMOのGPSによっていい方向に行くとは限りません。しかし、こうして自宅で最期を迎えられ「最期を事故ではなく布団で送ることができた。本当にありがとう」という感謝の言葉を、わざわざご報告いただいたこと。

わたしの使命は、こういう方が一人も多くなるようにiTSUMOをしっかり使いこなしてもらうことなんだと感じています。

世間の目 について

わたしが子供のころ(40年近く前)は「要介護者」と「重病人」がほぼイコールで見られていたんじゃないかと思います。もっと言えば「認知症の人」と「犯罪者や廃人」もそんな目で見られていたように記憶をたどると感じます。今考えると恐ろしい話です。

それが「介護」や「認知症」という概念が確立したことで専門職生まれ、それぞれが誇りをもって仕事できる環境になりました。当事者の方も生き辛さが少しは和らいだのではないかと思います。

最近では「コロナ」と「昔のペストのような大量に死者が出た感染症」がイコールで見られていました。しかしこれも、研究が進み徐々にそこまで怖い病気ではなくなりつつあります。
結局は「無知」が差別や誤解を生み、研究が進めば雪が解けるように世間になじんでいく、そんなもんじゃないかなと考えます。
まだまだ認知症に対しての世間の目は温かいとは言えない状況もあり、徘徊についての理解も少なく、警察に保護願を出したときでも「嫌な顔をされる」こともあるといいます。
iTSUMOのGPSの理解が進めば、認知症・徘徊についての理解も進み、もっと温かい世間にかわっていくはず と考え、日々発信を続けています。

つまりすべてのもの・ことは「原因」と「対策」がわかれば「怖いもの」ではなく「共存可能」になるということです。
これは、小学生の時に学校で初めて友達ができたときの感覚に近いと思います。(覚えています?不安いっぱいで登校し同級生から初めて声をかけられた時のドキドキを)・・・書きながら、わたしの時の感覚はよみがえってきませんでした・・・。
ともかく「知らない」から「知っている」になるには努力が必要で、みんなが「知っている」になれば差別や誤解は少なくなるという事です。
そのために、わたしは認知症・徘徊について発信を続けますし、これを読んでくださった方も、自分の方法で発信をしてほしいと思います。
きっと誰かのためになっていると思います。

世界アルツハイマー月間2022

こんにちは。アーバンテックです。

今月は世界アルツハイマー月間です。
1994年に「国際アルツハイマー病協会」と世界保健機関(WHO)が制定しているのですが、毎年9月21日を「世界アルツハイマーデー」、9月の間は世界アルツハイマー月間となっています。

世界アルツハイマー月間では認知症の啓蒙が世界中で実施されています。
我が国、日本でも公益社団法人「認知症の人と家族の会」がポスターやリーフレットを作成して、認知症への理解を呼びかけるなどの活動を行っています。

アーバンテックは認知症徘徊GPSの開発元として「認知症の人と家族の会」の活動を応援しています。

「認知症の人と家族の会」のホームページ:https://www.alzheimer.or.jp/

お子様にも認知症のことを理解してもらえるサイト:https://alzheimer.or.jp/kodomo/

アーバンテックも日本の皆さんに少しでも認知症のことを理解して頂けるように日々活動してまいります。

認知症の徘徊見守りGPSをご利用事例64

★大阪府G様 男性80歳 要介護2
◎介護保険適用
見守り体制:ご家族様とケアマネージャー
GPSの取り付け位置:靴

担当福祉用具店さんからお話しをおうかがいしました。

ご利用者が男性の場合、初対面でどうしても構えられてしまうことがあります。
知らない人が家に来て、自分の靴を色々と触るものですから、あまりいい気分はされないようです・・・。なので時には怒られることもあります。

そんな話を何気なくケアマネージャーさんに話したところ「今からおじいちゃんの味方が来てくれる!」「その人は私の友達やで!」と、初対面の前にご本人様に話していてくれました。
おかげさまで、導入がスムーズにいっただけでなく、ご利用者様との距離が一気に近くなり、世間話をしながらメンテナンスもできる関係になりました。

もちろんiTSUMOの付いた靴を毎日履いて出掛けいただけています。

このように、iTSUMOは便利な機械ですが、いろんな人の協力が必要です。

やはり認知症・徘徊というとご家族やご本人にとってデリケートな内容ですので、
ご家族様はもちろん、ケアマネジャー様の協力も欠かせないと感じました。

ケアマネージャーさんが訪問しているイラスト

認知症の徘徊見守りGPSをご利用事例63

突然ですが、皆さんAirTag(エアタグ)ってご存じでしょうか?
apple社製のあれです。

ボタンより少し大きいぐらいの「GPS」のようなものです。(実際はGPSではないです)

ご家族が、認知症のお父さんに「これなら使えるんじゃないか」と思い購入されたそうです。

しかし残念ながら、お父さんは出かける時に持って出てもらえませんでした。
(実は持って出ていただけても捜索可能範囲は限定的なのです)

そこで、iTSUMOなら靴に取り付けることができるので、持って出かけてもらう必要がないのでうまくいくのではないかと相談を受けました。

早速、担当者が説明に向かうと娘様から
「こんな目立つカバーの靴をお父さんは履かない」
「充電をするのにいちいち他府県から戻って来れない」
「お父さんがいなくなったら私は探せない」
「すぐに迎えに行けないから無理」と、できない理由を伝えていただきました。

こちらからは
1.目立つカバーを気にされるかどうか一度試したい
2.充電は他の介護サービス中にお願いしてはどうか
3.捜索に関しては、他にできるご家族がおられないか(遠方でも)
4.すぐに迎えに行けないタイミングは警察に保護願を出すことも検討
と、ご提案させていただきましたが、こちらに依存されるように感じました。

※今回のケースでは結論から言うと、iTSUMOも取付できませんでした。

残念ですが、iTSUMOはご家族または周りに入る方の協力がないと使いこなすことができません。
もちろん独居であったり、身寄りのない方の場合、ご家族にかわる協力者がいれば使いこなしていただけます。
iTSUMOにできることは「居場所がわかる」だけですから

iTSUMOは全ての人に適した機器ではなく、このようにうまく行かない事例もあります。
ですが、1日でも長く住み慣れた家にご本人が居れる環境を提案し続けたいと思います。

協力して介護するイラスト2